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《IZAKAYA TOILET ~居酒屋のトイレ探訪~》京都・出町柳『村屋』 – 日本一カオスなトイレ発見!?謎の神が祀られている芸術と混沌が融合するトイレ。

『店主の趣味や個性が反映された居酒屋のトイレ。
それは日本で一番多く、一番小さく、
ちょっとだけ臭いミュージアム。』
飲食店の表の顔ともいえる店内とは対照的に、トイレは店主の隠れた趣味と個性が凝縮された秘密の空間なのだ。
そこは単なる手洗い場ではない。むしろ小さな美術館か、芸術家のアトリエのようなものだ。店主が独自の感性を存分に発揮し、自らの嗜好や愛着を色濃く反映させた、一種の個展空間と呼ぶにふさわしい。阪神タイガースグッズの殿堂や相田みつをの名言ギャラリー、店主お手製のダジャレの張り紙、お客さんとの対話の痕跡が残るメモ帳トイレなど、時に豪華で時に質素、店内とはまったく異なる世界がそこにはある。
本連載では、そんな居酒屋のトイレ空間を探訪する。独創性と個性に富んだ数々の芸術的トイレに出会い、店主の奥深い想いに触れていく。変わり種から感動作まで、多種多様なトイレの世界を案内しよう。

はじめに

京都大学の学生たちと文化人が集う、独特の雰囲気を持つ居酒屋『村屋』。この店は、単なる飲食店を超えた、まさに「生きた芸術空間」と呼ぶにふさわしい居酒屋だ。今回は、その中でも特に驚異的な空間である、店内のトイレにフォーカスを当てて紹介していく。

京大生と文化人の集う居酒屋『村屋』との遭遇

京都大学の吉田寮を取材するため京都を訪れていた私は、地元の学生から「村屋」の噂を耳にした。京大最寄りの出町柳駅近くにあるこの居酒屋は、外観からして尋常ではない雰囲気を醸し出していた。

驚異的な店内

扉を開けると、そこには想像を遥かに超える光景が広がっていた。天井から床まで、あらゆる場所がアート作品で埋め尽くされている。配線、人形、そして様々な装飾品が絶妙なバランスで配置され、まるで別世界に迷い込んだかのような錯覚を覚える。

これらの作品は、芸大出身のオーナーが、同じく芸大の友人たちに依頼し、街で拾った廃材などを利用して作られたものだという。まさに「飲める美術館」とでも呼ぶべき空間が広がっていた。

驚くべきことに、これほどのカオス空間でありながら、座席やメニューは清潔に保たれており、不思議と居心地が良い。料理はどれも美味しく、価格も良心的。カウンターでは賑やかに、テーブルでは落ち着いて会話を楽しむことができる。

また、この店は飲んでいると自然と交流が生まれる文化の交差点のようなお店だ。文化人や芸術家、学生たちが集う、知的交流の場でもあるのだ。私の前に座った方は筑前琵琶の奏者であったし、京大生との会話も弾んだ。(吉田寮に泊まると言ったら、すごく驚いていた笑)
皆が気さくに話しかけてくれる温かい雰囲気に包まれた、通いたくなる居酒屋だ。
筑前琵琶奏者の方は、その後自分の演奏をまとめたCDを送ってくださった。ありがとうございました!

居酒屋トイレの最高到達地点?圧巻のアート空間

そして、この店の真髄とも言えるのが、驚異的なトイレである。インディアナ・ジョーンズの映画に出てきそうな扉を開けると、そこには想像を絶する空間が広がっていた。

・男女共用の広々としたスペース

・女性のマネキンと鳥籠や人形の首(トイレのBGMは鳥の鳴き声がずっと流れてた)

・土着信仰を思わせる祭壇のような小便器

小便器の内装を手がけた方のツイート。

・お坊さんが彫られた石碑(手洗い場)

・石碑に向かって天井から降り注ぐ木々

ここで手を洗う

・「めたこい神社」と名付けられた、大量の目のイラストが並ぶ謎の神を祀った神社

・めたこい神社の隣には、1回100円の謎のおみくじ

おみくじを引くと意味がわからない占いをされる。

・鏡ばりの個室トイレ。天井から吊るされた石像の頭

個室トイレは、鍵なし。つり革を引いている時だけ鍵がかかるらしい。

と、360度天井から床まで、文章では全て書ききれないほどの圧倒的なアート空間がそこには広がっていました。

外国人にも人気

今回、もちろん店員さんに許可を得て撮影したが、トイレに入ったお客さんはほぼ全員写真を撮っていた。日本人だけじゃなくて外国人の目にも新鮮に映るみたいで、写真をパシャパシャ撮っていた外国人に話しかけてみた。スーパー玉出のTシャツとワイドなワークパンツを合わせたオシャレな彼は、この近くに住んでいるらしい。このトイレどう思う?と聞いたら、「クレイジーだ。」と一言。もの珍しいトイレに興奮していた。Tシャツについて聞いたら、スーパー玉出で一目惚れして購入したそう。いいセンスだ。

最後に

『村屋』のトイレは、単なる機能的な空間を超えた、芸術作品そのもの。日本全国を探しても、これほどユニークで魅力的なトイレは他にないだろう。カオスでありながら不思議な魅力を放つこの空間に機会があれば訪れてみてほしい。

次回の「IZAKAYA TOILET」もお楽しみに。

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えこだりょう

えこだりょう

編集者 / ライター

人々の生活、衣食住に興味があります。 最近では主に職人さんとその手仕事(アナログ的な技法)を取材。 その他にも商店街・ピンク映画館・グッとくる看板・居酒屋のトイレ・シニアのファッション・宗教施設グルメ・入りにくい店などを追っています。 あと、江古田に住んでます。

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