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《Offbeat Diner 東京入りにくい店 Vol.1》北千住の秘密基地bar『昭和サロン小柳』

ずっと前から気になりつづけてきた、あの謎めいた店。
街の中でただ一軒、異質な雰囲気を醸し出すバー。
その背後には秘められた魅力がじっくりと待ち受けている。
果たして、その扉を開ける一歩が、どんな冒険へと導いてくれるのだろうか。
そんなオフビートな体験を求める人におすすめしたい風変わりで個性的なダイナーを紹介する連載
『Offbeat Diner 東京入りにくい店』。
今回は、北千住の昭和サロン小柳さんを紹介します。

昭和サロン小柳の見つけ方

都心に近く、家賃が比較的安価な東京都東側は、風変わりでこだわり抜いた個性的な店が軒を連ねる。「昭和サロン小柳」はそんな東京都東側のディープスポット東京都足立区北千住にある。北千住駅西口近くの飲み屋が連なる「北千住サンロード商店街」を歩いていると、商店街の中でも際立って異様な雰囲気を放つその店は、突如として現れる。

おしゃれなお店も増えてきているこの商店街で、明らかに異様な雰囲気を放つ外観。壁には余すところなく美術展やミュージアムのポスターが貼られており、よくみると日付の新しいものばかり。高頻度で張り替えられていることが伺える。建物の周りを囲むように、地面にはビートルズやABBA、竹内まりやのレコードも置かれている。

さあ、勇気を振り絞って店内へ。

物・知識・キャラに溺れる店内

店内に入ると、早速店主の島田安彦さんが高級フランス料理店のウェイターのように、真摯な口調で迎えてくれた。通された席は2名席。というか、この2名席しかこのお店にはなかった。

店内には、島田さんのコレクションが大量に並べられており、目の前に広がる情報の多さにあっけにとられる。昭和サロン小柳は、3代目でコレクターの島田安彦さんが店主を務めるお店。昭和の初めに島田さんの祖母が居酒屋として店を始め、その後島田さんの母親が店を継ぎ、1992年から現在の店主島田安彦さんが店を手伝い始めたという。そして25年前から島田さんのコレクションを楽しめる昭和サロンという今のスタイルになったという。

店主の島田さんは、界隈では有名なコレクターらしく、店の中のコレクションの数は、細かいものも合わせれば数万点にも登る。昭和サロン小柳を営業する傍ら、普段はこういった貴重な資料を美術展に貸したりし協力している。このカオスな見た目と口コミにより、過去には月曜から夜ふかしやモヤモヤさまぁず、所さんのそこんところなどのテレビにも取り上げられた。

島田さんはすごくおしゃべりで、「どうしてこのお店に来たのですか?」「音楽は何がお好きですか?」「最新のジブリ作品はご覧になられましたか?」等様々な質問をしてくれて、その人の好みのコレクションを見せてくれたり、アート、アニメ、音楽などの興味深い話、裏話などを聞かせてくれる。

また、島田さんは、この店でDJもしているので、好きな音楽のジャンルを伝えると「ではあなたにはこれをかけてあげましょう。」とその人に合ったレコードをかけてくれる。知識も豊富なので、その曲やアーティストに関わる面白い話がたくさん出てくる。

今回、シティポップが好きだということを伝えたので、竹内まりやをかけてくれた。そして、その音楽を聴きながら島田さんの貴重なコレクションの数々を見せていただいた。ジャンルはバラバラだが、「3年B組金八先生」の台本、「君たちはどう生きるか」の原作、あしたのジョー、ゲゲゲの鬼太郎、ムーミン、フランダースの犬などのセル画やドラえもん、ドラゴンボール、ナルトなどの原画など、なぜこの資料が北千住の飲み屋にあるのだろうと不思議になるものばかりだった。

また、葛飾北斎の資料や春画の資料など歴史的価値の高い資料も見せていただいた。

春画に関しては、江戸時代の性風俗を描いた絵画という印象しかなかったが、春画の本は絵だけがまとめられているのではなく、絵よりも文章部分の方が多いという発見があった。情報が断片的にまとめられているネットや資料に触れることができないミュージアムではできない発見を北千住のBarですることができるとは…。お酒を飲みながら現物でしか得られない情報に触れることができるのも、昭和サロン小柳の魅力だろう。

オフビートな店に入ったら、貴重なアニメやドラマの資料、レコード、マスターのキャラクターなど情報の多さに圧倒されたが、日本を代表する貴重な資料をお酒と音楽を楽しめた。
昭和サロンとは、お酒を飲みながら店主「島田安彦さんの貴重なコレクション」を島田さんのDJを聴きながら楽しむという空間。つまり、昭和テイストのBarではなく、“お酒の飲めるミュージアム”であり“一部屋のタイムマシン”なのだ。
このお店が気になるという人は、ぜひ下の注意事項と店舗情報を読んでから足を運んで欲しい。
では、また次回の『Offbeat Diner 東京入りにくい店』でお会いしましょう。

注意事項

・1時間3,000円で飲み放題。焼酎とウイスキーの2種類から選ぶことができます。(ロック・ストレート・水割りのみ)若干値段は高めなので貴重なコレクションとマスターのお話が聞けるミュージアムだと思って行きましょう
・お店は、島田さんと一緒に飲むスタイル。島田さんにも1、2杯ご馳走することになります
・私は酔いすぎて、マスターの話や見たコレクションの記憶が断片的にしかないので(勿体無い…)、ほろ酔いくらいで行くのが一番楽しいと思います
・衛生面があまり良くはないので、気になる方は入店を控えた方が良いと思います

店舗情報

営業時間
18:00 〜 23:00 / 不定休
アクセス
東京都足立区千住2-65

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えこだりょう

えこだりょう

編集者 / ライター

人々の生活、衣食住に興味があります。 最近では主に職人さんとその手仕事(アナログ的な技法)を取材。 その他にも商店街・ピンク映画館・グッとくる看板・居酒屋のトイレ・シニアのファッション・宗教施設グルメ・入りにくい店などを追っています。 あと、江古田に住んでます。

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