タイムマシンを、手のひらに。

CULTURE

住宅街のアート作品『生け紙』。

住宅街の片隅で、ポストから溢れ出すチラシが、思いがけない美を纏う。それは生け花というより「生け紙」とでも呼ぶべき住宅街のアート作品だ。

ポストから叫びのように飛び出す広告の束は、「居住者の怠惰」と「何人ものチラシ配布者の粗雑な仕事ぶり」が生み出した共同作品ともいえる。その姿は、単なる視覚的な面白さを超えて、消費社会全体を風刺する「現象」としておもしろい。

一方で、駅や街角の新聞・雑誌棚に整然と並べられた紙媒体もまた、別種の美しさを放つ。その規則性は都市の秩序を象徴し、不規則なポストの光景と対をなす都市の芸術作品だ。

しかし、デジタル化の波に押され、こうした紙の風景は徐々に姿を消しつつある。不規則と規則、無秩序と秩序が織りなす、この束の間のアートを目に焼き付ける時間は、もはやわずかしか残されていないのかもしれない。

これからも「ポストアート」を見かけたら撮り溜めて連載にしていきたい。(もちろん個人情報はモザイクで消して)なんなら、この分野の假屋崎省吾さんになりたい。

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えこだりょう

えこだりょう

編集者 / ライター

人々の生活、衣食住に興味があります。 最近では主に職人さんとその手仕事(アナログ的な技法)を取材。 その他にも商店街・ピンク映画館・グッとくる看板・居酒屋のトイレ・シニアのファッション・宗教施設グルメ・入りにくい店などを追っています。

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